第1章

英単語を「丸暗記」しない3つの視点

本書を貫く方法論の全体俯瞰

学習目標

  • 3つの視点 (状態性 / 構造 / 分解) の全体像をつかむ
  • 丸暗記では越えられない壁の正体を構造的に理解する
  • 本書の章立てを自分の使い方と結びつける

所要時間の目安

約2時間 (解説1.5時間 + ミニ演習0.5時間)

この章を読む前に

序章で「このノートが生まれた背景」と「3つの視点」という方法論の存在を見ました。 この章では、その3つの視点を一つひとつ展開し、本書全体の地図を手に入れます。 ここで提示する内容は、第2〜9章で順に詳しく深掘りされます。第1章を読んだ段階では「全体像が見えた」状態を目指してください。

この章で身につくこと

この章を読み終えるころには、あなたは英単語の世界を3つの視点で見渡せるようになります。

単語帳をコツコツ覚える努力は、早慶附属合格の大前提です。それは絶対に欠かせません。

ただ、単語帳の暗記だけでは越えられない壁があります。

ひとつめの壁は、当日の長文に必ず登場する「知らない単語」をどう乗り越えるか

ふたつめの壁は、知っている単語でも、文法的に正しく使えるかどうかが問われること。

この2つの壁を越えるために、恩師から教わった3つの視点を提示します。

この3つを手に入れた瞬間から、英単語の世界の見え方が変わります。

1-1. 早慶附属合格者は、なぜ「単語帳の暗記」だけでは足りないのか

まずはっきりさせておきたいのは、英単語をたくさん覚えていることは合格への大前提だということです。

単語帳をコツコツ覚える努力は、絶対に欠かせません。

では、なぜそれだけでは足りないのでしょうか?

理由は2つあります。

理由①:早慶附属の長文には、必ず「知らない単語」が登場する

早慶附属の入試で求められる単語レベルを確認しておきましょう。

学校求められる単語レベル
早稲田実業英検準2級は最低限、合格を確実にするには英検2級レベルにも挑戦
慶應義塾最低でも英検準2級、できれば英検2級、3500語以上
慶應志木英検準2級以上の単語力は当然、3500単語まで引き上げる

英検2級は高校卒業レベルで、必要な語彙数は約5,100〜5,800語

中学生が、ここまでの単語を完璧に覚えるのは、相当な努力が必要です。

そして大切なのは、ここまで頑張って単語帳を覚えても、当日の長文には知らない単語が出てくるという事実です。

なぜなら:

  • 早慶附属の長文は700〜800単語規模で、ジャンルも説明文・物語文・スピーチなど多岐にわたる
  • 英検2級レベルを超える単語が、注釈なしで出てくることがある
  • 「知っているはず」の単語でも、文脈によって普段とは違う意味で使われることがある

つまり、どれだけ単語帳を完璧にしても、当日「知らない単語」に出会う可能性は0にならないのです。

そのとき必要になるのが、知らない単語の意味を推測する力です。

理由②:単語の「意味」を知っているだけでは解けない問題がある

もうひとつの理由を、具体例で見ていきましょう。

例1:rise を「上る」と覚えていても解けない問題

Q. Look! The sun ( ) over the horizon.
(a) rises (b) is rising (c) rose (d) was rising

正解は (b) is rising です。

「Look! The sun」のあとなので「いま起きていること」を表す進行形 -ing が答えだ ─ そう判断できれば正解です。

でも、ここで疑問が湧きませんか?

rise (上る) は状態じゃないの? なぜ進行形が使えるの?

この問題を解くには、「rise は動作動詞だから進行形が取れる」という知識が必要です。

つまり、rise という単語の意味を覚えているだけではダメで、rise が動作動詞か状態動詞かまで知っていなければ正解できないのです。

例2:reply と answer、どちらも「答える」なのに

Q. He ( ) the question without thinking.
(a) replied (b) answered (c) said (d) talked

正解は (b) answered です。

reply も answer も「答える」という意味ですよね。なぜ reply ではダメなのでしょうか?

答えは:reply は自動詞、answer は他動詞だからです。

reply を使うなら "replied to the question" のように前置詞 to が必要です。answer は他動詞なので、直接 "answered the question" と続けられます。

✓ He answered the question.
✓ He replied to the question.
✗ He replied the question. (前置詞なしはNG)

reply と answer、どちらも「答える」という日本語訳なのに、文法的な使い方が違います。

このように、単語の意味だけ覚えていても解けない問題が、早慶附属では多く出題されます。

早慶附属合格者がやっていること:「構造で理解する」

ここまでをまとめると、早慶附属の英語で問われているのは次の2つです。

  1. どれだけ単語を知っているか (単語帳での暗記が大前提)
  2. 単語の構造を理解しているか (暗記だけでは足りない部分)

「構造を理解する」というのは、具体的には次の3つです。

  • その単語は動作動詞か、状態動詞か (=進行形が使えるか)
  • その単語は自動詞か、他動詞か (=前置詞が必要か)
  • その単語は何のパーツでできているか (=知らない単語に出会ったとき、意味を推測できるか)

これら3つを身につけることで:

  • すでに知っている単語を、正しく使えるようになる
  • 当日、初めて見る単語に出会っても、意味を推測できるようになる

つまり、「構造の視点」は、単語帳を完璧にしたあとの最後のひと押しとして機能します。

そして、この構造を理解する3つの視点こそが、この教材の核心です。

1-2. 視点①:状態V/動作V の区別

ひとつめの視点は、動詞を「状態」と「動作」に分けて見ることです。

状態動詞とは

状態動詞は、変化のない「ある状態」を表す動詞です。

たとえば be (〜である)、have (持っている)、know (知っている) など。

これらは「いま、その状態にある」ことを表すので、進行形 (Ving) にできないのが特徴です。

✓ I know him. (私は彼を知っている)
✗ I am knowing him. ←状態動詞なので進行形は不自然

✓ She has a car. (彼女は車を持っている)
✗ She is having a car. ←状態動詞なので進行形は不自然

動作動詞とは

動作動詞は、瞬間的・連続的な「動き」を表す動詞です。

たとえば run (走る)、eat (食べる)、write (書く) など。

これらは「いま、その動きをしている」ことを表せるので、進行形 (Ving) にできるのが特徴です。

✓ She is running in the park. (彼女は公園で走っている最中だ)
✓ He is eating lunch. (彼は昼食を食べている最中だ)

状態V vs 動作V 対比図 ─ 進行形が取れるかどうかの判定。状態動詞 (be/have/know/belong/resemble) と動作動詞 (run/eat/write/jump/throw) の対比、両方の意味を持つ動詞 (have/see/think) の注意点を示す。
図 1-2: 状態V vs 動作V の判定構造 (画像生成待ち)

状態動詞のリスト (恩師から教わった必須リスト)

恩師は、状態動詞を以下のグループで覚えるよう教えてくれました。

存在・所有グループ (10個)

動詞意味
be〜である
have持っている
belong〜に属する
consist〜から成る
depend依存する
resemble〜に似ている
wear(服を)着ている (←状態)
lie横たわっている
own所有する
possess所有する

知覚グループ (5個)

動詞意味
see見る・見える
hear聞く・聞こえる
feel感じる
taste味がする
smellにおいがする

思考・感情グループ (6個)

動詞意味
think思う・考える
like / hate / dislike好き・嫌い
understand理解する
know知っている
believe信じる
love愛している

これら21個の動詞は、原則として進行形にできません。

⚠️ 要注意:同じ動詞でも「状態」と「動作」で意味が変わる

ここで重要な落とし穴があります。

同じ動詞でも、「状態」として使うか「動作」として使うかで意味が変わるものがあります。

たとえば:

have:状態 (持っている) ⇔ 動作 (食べる)

✓ I have a car. (私は車を持っている) ←状態
✓ I am having lunch. (私は昼食を食べているところだ) ←動作

「持っている」の意味では進行形にできませんが、「食べる」の意味では進行形にできます。

see:状態 (見える) ⇔ 動作 (会う)

✓ I see the mountain. (山が見える) ←状態
✓ I am seeing my friend tonight. (今夜友達に会う予定だ) ←動作

think:状態 (思う) ⇔ 動作 (考えている最中)

✓ I think he is right. (彼は正しいと思う) ←状態 (意見を持つ)
✓ I am thinking about it. (それについて考えているところだ) ←動作 (考える行為)

これらの使い分けは、早慶附属で頻出のポイントです。

この視点で何が変わるか

「状態V/動作V」の区別を持つと、問題を解くときに次のように考えられるようになります。

Look! The sun ( ) over the horizon.
(太陽が地平線の上に___)

思考プロセス

  1. rise = 上昇する = 動作動詞
  2. 動作動詞だから進行形が取れる
  3. しかも "Look!" があるから「いま起きていること」を表すべき
  4. 答え:is rising

逆に状態動詞ならこうなります。

She ( ) to the tennis club.
(彼女はテニスクラブに___)

思考プロセス

  1. belong = 属する = 状態動詞
  2. 状態動詞は進行形にできない
  3. だから "is belonging" は不可
  4. 答え:belongs (現在形)

このように、動詞を「状態」と「動作」で分類する視点を持つだけで、問題を「考えて」解けるようになります。

第2章では、この視点をさらに深掘りして、状態動詞の完全リストと早慶附属頻出パターンをマスターします。

1-3. 視点②:自動詞/他動詞 の区別

ふたつめの視点は、動詞を「自動詞」と「他動詞」に分けて見ることです。

自動詞と他動詞の違い

英語の動詞は、目的語 (O) を取るか取らないかで2種類に分かれます。

自動詞:目的語を取らない (前置詞が必要)

自動詞は、後ろに直接目的語を置けません。

何か「対象」を続けたいときは、前置詞が必要です。

✓ He looked at the picture. (彼は絵を見た)
✗ He looked the picture. ←自動詞 look には前置詞 at が必要

✓ She listened to music. (彼女は音楽を聴いた)
✗ She listened music. ←自動詞 listen には前置詞 to が必要

他動詞:目的語を直接取る (前置詞は不要)

他動詞は、後ろに直接目的語を置けます。

前置詞は不要 (むしろ、つけるとNG)。

✓ He saw the picture. (彼は絵を見た)
✗ He saw at the picture. ←他動詞 see に前置詞は不要

✓ She heard music. (彼女は音楽を聴いた)
✗ She heard to music. ←他動詞 hear に前置詞は不要

自動詞 vs 他動詞 判定図 ─ 自動詞は「動詞+前置詞+O」、他動詞は「動詞+O」。日本語訳が同じでも自他は違う (live in/inhabit, enter/come into, marry/get married to のペア対比)。
図 1-3: 自動詞 vs 他動詞 の構造対比 (画像生成待ち)

⚠️ 要注意:日本語訳が同じでも、自動詞か他動詞かは違う

ここに、日本人英語学習者の最大の落とし穴があります。

日本語訳が同じでも、英語では自動詞・他動詞が異なる動詞ペアが多数存在します。

恩師から教わった必須ペアを紹介します。

日本語訳自動詞 (前置詞必要)他動詞 (前置詞不要)
〜に住むlive in 〜inhabit 〜
〜に入るcome into 〜enter 〜
〜と結婚するget married to 〜marry 〜
〜に言及するrefer to 〜mention 〜
〜に行くgo to 〜attend 〜
〜について行くgo with 〜accompany 〜 / follow 〜
〜に似ているtake after 〜resemble 〜
〜に近づくcome near to 〜approach 〜
〜に従うyield to 〜obey 〜

これらのペアでは、日本人が他動詞に余計な前置詞をつけてしまうミスが頻発します。

よくあるミス

✗ He entered into the room.
✓ He entered the room. (enter は他動詞、前置詞不要)

✗ She married with him.
✓ She married him. (marry は他動詞、前置詞不要)
✓ She got married to him. (こちらでもOK)

✗ This style resembles to mine.
✓ This style resembles mine. (resemble は他動詞、前置詞不要)

これらのミスは、早慶附属の入試で意図的に出題されます。

「resemble は他動詞だから前置詞 to は不要」と判断できる視点が必要なのです。

紛らわしい他動詞 (前置詞をつけたくなるけど不要)

特に注意が必要な他動詞リストです。

動詞意味よくある誤り
answer〜に答えるanswer to ←誤り (reply とセットで混同しやすい)
discuss〜について議論するdiscuss about ←誤り
consider〜について考えるconsider about ←誤り
excel〜より優れるexcel than ←誤り
reach〜に到着するreach to ←誤り
join〜に加わるjoin in ←誤り (※ join in は別の意味で使う)
visit〜を訪れるvisit to ←誤り

これらは「日本語感覚で前置詞をつけたくなる」のに、英語では他動詞なので前置詞不要です。

紛らわしい自動詞 (前置詞が必要だけど忘れがち)

逆に、自動詞なのに前置詞を忘れがちな動詞もあります。

動詞必要な前置詞意味
graduatefrom〜を卒業する
listento〜を聞く
replyto〜に返答する
majorin〜を専攻する
insiston〜を主張する
persistin〜に固執する
specializein〜を専門にする
dispensewith〜なしで済ます
agreeto / with〜に同意する
referto〜に言及する

これらは「日本語感覚では他動詞っぽいのに、実は自動詞で前置詞が必要」というパターン。

たとえば:

✗ He graduated his university last year.
✓ He graduated from his university last year.

✗ Please reply this email.
✓ Please reply to this email.

この視点で何が変わるか

「自動詞/他動詞」の区別を持つと、問題を解くときに次のように考えられるようになります。

She refused ( ) the question.
(a) to reply (b) replying (c) answering (d) to answer

思考プロセス

  1. refuse は to V を取る動詞 (refuse to V = Vすることを断る)
  2. so, (a) to reply か (d) to answer のどちらか
  3. reply は自動詞だから "reply the question" は不可
  4. reply を使うなら "reply to the question" になる必要がある
  5. answer は他動詞だから "answer the question" でOK
  6. 答え:(d) to answer

もし「reply と answer は同じ意味」と思って (a) to reply を選んだら、不正解です。

このように、動詞を「自動詞」と「他動詞」で分類する視点を持つだけで、紛らわしい問題でも正確に判断できるようになります。

第5章では、この視点をさらに深掘りして、自動詞・他動詞の完全リストと前置詞の使い分けをマスターします。

1-4. 視点③:接頭辞・語幹・接尾辞・コアイメージ

3つの視点の全体像 ─ 中央に「英単語」円、周囲に視点① (状態か動作か)・視点② (構造)・視点③ (分解) の3円が三角形配置。各視点に代表例 (resemble/SVOC/in-/-ject-/-tion など) を配置。
図 1-1 (再掲): 英単語を読み解く 3つの視点 (画像生成待ち)

3つめの視点は、英単語を「3つのパーツ」で分解して見ることです。

英単語は3つのパーツでできている

英単語の設計図は、たった3つのパーツで成り立っています。

[ 接頭辞 ] + [ 語幹 ] + [ 接尾辞 ]
  prefix       root       suffix

それぞれの役割はこうです:

パーツ役割
接頭辞方向や否定を決めるex- (外へ) / in- (中へ) / re- (再び)
語幹単語の核となる意味-ject (投げる) / -spect (見る)
接尾辞品詞を決める-tion (名詞) / -able (形容詞)

この3つを組み合わせて、すべての英単語が作られています。

例で見てみよう:inject

たとえば inject という単語を分解すると:

in-     +  -ject
中へ        投げる

「中に投げ入れる」=「注射する」

シンプルですよね。

語幹 -ject (投げる) のコアイメージから派生する単語の家族。中心に「-ject」、放射状に inject/project/reject/eject/subject/object の6方向。接尾辞 (-ion/-ive/-or) で品詞が変わる。
図 1-4: 語幹 -ject の派生家系図 (画像生成待ち)

同じ語幹「-ject」に別の接頭辞をつけると:

単語分解意味
injectin (中へ) + ject (投げる)注射する
projectpro (前へ) + ject (投げる)計画する・投影する
rejectre (後ろへ) + ject (投げる)拒絶する
ejecte (外へ) + ject (投げる)追い出す
subjectsub (下へ) + ject (投げる)服従させる・主題
objectob (反対に) + ject (投げる)反対する・物体

すべて「投げる」というコアイメージから派生しています。

接頭辞の「向き」だけが変わり、意味がガラッと変わるのがわかります。

コアイメージという考え方

ここで大切な概念を導入します。それがコアイメージです。

コアイメージとは、その単語が持つ「」「感覚」のことです。

たとえば「-ject (投げる)」のコアイメージは:

「ぽーん、と何かを投げる動作」

このイメージさえ持っておけば:

  • in (中) + ject → 「中にぽーん」→ 注射
  • pro (前) + ject → 「前にぽーん」→ 投影・計画
  • re (後ろ) + ject → 「後ろにぽーん」→ 拒絶
  • e (外) + ject → 「外にぽーん」→ 追い出す
  • sub (下) + ject → 「下にぽーん」→ 服従させる

すべての単語が、ひとつの「投げる絵」から派生していることがわかります。

英単語は丸暗記するものではなく、コアイメージから派生させるもの。

これが、3つめの視点の核心です。

接尾辞で品詞が見える

ここに接尾辞 (品詞を決めるパーツ) を組み合わせると、さらに広がります。

例:語幹「-ject」+ 接尾辞

単語分解品詞意味
projectpro + ject動詞・名詞計画する・計画
projectionproject + ion名詞投影
projectorproject + or名詞 (人)映写機
rejectionre + ject + ion名詞拒絶
objectiveob + ject + ive形容詞客観的な
subjectivesub + ject + ive形容詞主観的な

たった1つの語幹「-ject」から、10語以上が派生で生まれます。

接尾辞 (-ion / -or / -ive) を見れば、その単語の品詞が一瞬でわかります。

早慶附属レベルの数字で実感する

接頭辞30個 × 語幹30個 × 接尾辞30個 ─ この3つを30個ずつ覚えるだけで、組み合わせは理論上27,000通りになります。

実際にはすべてが英単語として存在するわけではありませんが、それでも:

  • 接頭辞30個 × 平均派生語5個 = 約150単語
  • 語幹30個 × 平均派生語10個 = 約300単語
  • 接尾辞30個 × 平均派生語5個 = 約150単語

重複を除いても約500〜600単語が派生で覚えられます。

これは早慶附属の入試で出題される単語の8〜9割をカバーするレベルです。

つまり、「接頭辞30 × 語幹30 × 接尾辞30」を押さえるだけで、早慶附属合格レベルの英単語力が完成します。

この視点で何が変わるか

「接頭辞・語幹・接尾辞・コアイメージ」の視点を持つと、初めて見る単語に出会っても、意味の見当がつくようになります。

例:transmission という単語を見たとき

思考プロセス

  1. trans (越えて) + miss (送る) + ion (名詞化)
  2. 「越えて送ること」=「送信」「伝達」
  3. 名詞 (-ion で終わる)
  4. → 答え:送信・伝達

辞書を引かなくても、パーツの知識だけで意味と品詞が見抜けました。

これが、「丸暗記しない」英単語学習の本質です。

第6章 (総論)、第7〜9章 (詳細) で、この視点を完全マスターします。

1-5. 3つの視点を組み合わせる

ここまで、3つの視点を見てきました。

  • 視点①:状態V/動作V
  • 視点②:自動詞/他動詞
  • 視点③:接頭辞・語幹・接尾辞・コアイメージ

これらは独立した視点ではなく、組み合わせて使うことで真の力を発揮します。

例:早慶附属レベルの問題

Q. The committee ( ) my proposal yesterday.
(a) is rejecting (b) rejected (c) rejects (d) was rejecting

正解は (b) rejected です。

思考プロセス (3つの視点の組み合わせ)

視点① (状態V / 動作V):

  • reject は「拒絶する」という動作動詞
  • だから進行形 -ing も使える

視点② (自動詞 / 他動詞):

  • reject は他動詞
  • "reject my proposal" のように直接目的語が来る (前置詞不要)

視点③ (接頭辞・語幹・接尾辞):

  • reject = re (後ろへ) + ject (投げる) = 後ろに投げる = 拒絶する
  • 動詞の原形

最終判断:

  • "yesterday" があるので過去形が必要
  • (a) is rejecting / (d) was rejecting は「拒絶していた最中」のニュアンスで、ここでは不自然
  • (c) rejects は現在形なので不可
  • → 答え:(b) rejected

このように、3つの視点を組み合わせることで、問題を「考えて」解けるようになります。

別の例:語彙問題

Q. She ( ) the tennis club for three years.
(a) is belonging (b) belongs (c) has been belonging (d) has belonged

思考プロセス (3つの視点の組み合わせ)

視点① (状態V / 動作V):

  • belong = 「属する」=状態動詞
  • 状態動詞は進行形にできない
  • → (a) is belonging と (c) has been belonging は不可

視点② (自動詞 / 他動詞):

  • belong は自動詞で、後ろに前置詞 to が必要
  • ここでは "belong to the tennis club" の to が省略されたわけではなく、目的語 the tennis club の前に必要
  • (※ 実際の問題では "belong to" の to が含まれている形式が多い)

視点③ (接頭辞・語幹):

  • belong = be + long (沿う・関連する)
  • be動詞の親戚で、状態を表す動詞

最終判断:

  • "for three years" があるので「3年間続いている状態」=現在完了形が適切
  • → 答え:(d) has belonged

1-6. この教材の道筋

これから、3つの視点を1つずつ深掘りしていきます。

内容対応する視点
第2章状態V vs 動作V視点①
第3章文型で覚える動詞 (SVOC・使役・SVOO)視点②の発展
第4章to V と Ving視点②の発展
第5章自動詞 vs 他動詞視点②
第6章英単語を「分解」する 総論視点③
第7章接頭辞30マスター視点③
第8章語幹30マスター視点③
第9章接尾辞30マスター視点③
第10章総合演習 早慶附属レベル50問視点①+②+③

各章では、以下の構成で学んでいきます:

  1. 解説 (なぜそうなるか・コアイメージ)
  2. 例文 (早慶附属レベル)
  3. 演習問題 (各章末)

そして第10章で、3つの視点を統合した総合演習に挑戦します。

1-7. 章末ミニ演習

第1章で身につけた3つの視点を、ミニ演習で確認しましょう。
以下の問題を、ノートに答えを書きながら解いてください。
終わったら「答えを見る」を開いて答え合わせをしてください。
間違えた問題には、ノートに印をつけて後で復習しましょう。

問題 1

The Earth ( ) around the Sun.

  1. is going
  2. goes
  3. went
  4. was going
答えを見る

正解

(b) goes

解説

go (進む) は動作動詞ですが、「地球が太陽の周りを回る」は普遍的事実です。 普遍的事実は現在形で表します。よって答えは goes。

使った視点

視点①: 状態V/動作V (動作動詞でも、普遍的事実は現在形)

問題 2

He ( ) the question without thinking.

  1. replied
  2. answered
  3. said
  4. talked
答えを見る

正解

(b) answered

解説

reply は自動詞で reply to 〜 の形が必要。answer は他動詞なので前置詞不要。 "the question" の前に前置詞がないので、他動詞 answer が正解。

使った視点

視点②: 自動詞/他動詞 (前置詞の有無で判別)

問題 3

predictable という単語の意味は?

  1. 予言者
  2. 予測する
  3. 予測可能な
  4. 予測される人
答えを見る

正解

(c) 予測可能な

解説

predictable = pre (前に) + dict (言う) + able (〜できる) ──「前もって言える」=「予測可能な」。 -able は形容詞をつくる接尾辞なので、品詞は形容詞。

使った視点

視点③: 接頭辞・語幹・接尾辞 (分解とコアイメージで意味と品詞を導出)

問題 4

She ( ) to the tennis club.

  1. is belonging
  2. belongs
  3. belonged in
  4. has been belonging
答えを見る

正解

(b) belongs

解説

belong は状態動詞 → 進行形不可。よって (a) is belonging と (d) has been belonging は不可。 (c) belonged in は前置詞が違う (belong to が正しい)。 問題文には "to the tennis club" とあるので、現在形 belongs が答え。

使った視点

視点①: 状態V/動作V (belong は状態動詞、進行形不可) + 視点②: 前置詞のチェック

問題 5

He decided to ( ) my proposal.

  1. reject
  2. rejecting
  3. rejected
  4. be rejecting
答えを見る

正解

(a) reject

解説

reject = re (後ろへ) + ject (投げる) で「拒絶する」という他動詞。 decide to V で「Vすることを決める」(第3章で詳しく学ぶ)。to の後ろは原形 V なので reject。

使った視点

視点②: 文型 (decide to V) + 視点③: 語源分解 (re + ject)

この章のまとめ

この章の核心

英単語の世界には、たった3つの視点で見渡せる地図がある。「単語を覚えるな。構造を理解しろ。」

覚えておきたいポイント

  • 視点①:状態V/動作V → 進行形が取れるかが見える
  • 視点②:自動詞/他動詞 → 前置詞が必要かが見える
  • 視点③:接頭辞・語幹・接尾辞・コアイメージ → 知らない単語の意味が見える

この3つを身につければ、丸暗記に頼らずに英単語の世界を歩けるようになります。

恩師が私に教えてくれたのは、まさにこの3つの視点でした。

「単語を覚えるな。構造を理解しろ。」

中3の私が、夜遅くまで机に向かいながら何度も繰り返した言葉です。

そして、この視点を持って過去問を解き始めた瞬間、それまで「ただの単語の羅列」に見えていた英文が、構造を持った意味のかたまりとして読めるようになりました。

これからの章で、3つの視点を1つずつ深く掘り下げていきます。

次章へのつながり

第2章では、視点①の「状態V/動作V」を完全マスターします。早慶附属で頻出の状態動詞リストと、よく問われるパターンを徹底的に学びます。